イスラエルにいても全くクリスマスムードがない。そこで今年のクリスマスは、もっともクリスマスらしい場所へ行く。
そこはベツレヘムという現在はパレスチナ自治区内にある街。12月25日、この街でイエス・キリストは生まれた・・・。
この記事は2013年12月23日と24日の内容です。
ケニアの首都ナイロビから友人(2名+2歳児)がイスラエルに遊びに来てくれた。
ナイロビ(ケニア)-イスタンブール(トルコ)-テル・アビブ(イスラエル)のルートで到着。
19時に宿泊ホテルに迎えに行く。
せっかくイスラエルに来てくれたので、まずは中東らしいレストランで食事。場所はヤッフォ港にあるThe Old Man and Sea。
世界各国に散らばっていたユダヤ人が入植して建国されたイスラエルには”いわゆる”イスラエル料理というものがないので、中東料理が定番になる。
ユダヤ教の戒律で禁じられているエビやイカ、貝もあるのでイスラエルらしいと言えば「はてな??」だが。
食事の後、夜のヤッフォを散歩。歴史的建造物がないケニアから来たので、非常に印象的だったようだ。
旧市街にあるフローティング・オレンジも印象的だったようだ。
ケニアとイスラエルの時差は1時間のみ。フライト時間も合計8時間程度で長くはないが、明日からの観光に備えて今晩は早めに休むことにする。
12月24日
今日はクリスマスイブ。日本のみならず世界中でクリスマスムードが高まる中、イスラエルではまったくそんな雰囲気はない。
朝9時に友人一行をホテルに迎えに行き、1号線を東へドライブ。山をどんどん上ると車列の向こうに見えるのは、
なんと雪!!
先週の記録的な大雪がまだエルサレムにはたくさん残っていた。
車はエルサレムを通り過ぎ、間もなくパレスチナ自治区内に入るための検問所に到着。
検問所には、何とこんなバナーが・・・。これがイスラエルで初めて見るメリークリスマスと新年を祝うバナーだ。しかもイスラエル観光省が提供しているものだった。
無事に検問を通過して、パレスチナ自治区内を走る。ケニアからの友人一行ははじめ緊張していた様子だったが、実際のパレスチナ自治区内を見て緊張がなくなったようだ。
イスラエル国内とさほど変わらない雰囲気だが、分離壁を近くに見るとここがあのパレスチナ自治区であることを再確認できる。
友人一行はこの発展した街の様子を見て、すごく驚く。僕も初めて自治区内に来た時はそうだった・・・。
今日はクリスマスなので警察官が多い。
そしてイスラエル側ではまず見ることのないクリスマスグッズを販売するお店が何軒か並んでいる。
無事にベツレヘムに到着。中心部では駐車場を見つけることができないと思い、ちょっと手前にあった駐車場に車を停める。料金は一日20シュケル(約600円)。非常に良心的な駐車料金だ。場所を掲載したいが、Googleマップはパレスチナ自治区内の詳細地図を掲載していないので、場所を説明できない。
細い路地を歩いて進むと前から大音量のマーチングバンドの音楽が聞こえてきた。
今日はクリスマス・イブなので、ベツレヘムの街はクリスマスムードいっぱいだ。日本人は意外に思うかもしれないが、ここに住むアラブ人はキリスト教徒が多い。
たくさんのマーチングバンドが連なって、非常に賑やかだ。
先頭の旗は、パレスチナの旗。
そしてサンタ?が登場。ここはクリスマスの発祥の地なのに・・・・これが発祥地のサンタさん???
次のマーチングバンドはかなり本格的。
胸にパレスチナの旗を付けて、凛々しい顔でさっそうとバンド演奏をしている。
こんな小さな子供達も参加。
街はどこもクリスマース一色。イスラエルでもっともクリスマスムードを感じたいなら、ここベツレヘムがオススメ。パレスチナ自治区内でクリスマスとは、日本人のほとんどが知らないだろう。
続いてオタワ(カナダの首都)で何度も聞いていたバグパイプの音色がしてきた。オタワに住んでいたのはつい半年前のことだが、何だかとても懐かしい。
街の路地には、これまたクリスマスらしい星形のイルミネーション。
住居の壁には、各国の支援を表示したパネルをあちこちで見かける。これはベルギーからの経済支援のパネル。
そしてSida(スウェーデン)の支援を記念するパネル。
各国の支援により、街がこんなにも発展している。
ベツレヘムのメイン通りを歩く。
イスラエル側とほとんど変わらない雰囲気だが、
パレスチナの旗はイスラエル側で見ることは全くない。
メイン通りの先に広がる公園。
この広場ではかなりイケメンの警察官が警備中。
その向こうにあるのは、巨大なクリスマスツリー!!
大小含めてクリスマスツリーは、イスラエル側では見たことがない。
かなり巨大なクリスマスツリー。
記念撮影中の子供達。
これがイエス・キリスト聖誕の地にあるメインのクリスマスツリーだ。
このツリーの後ろには、イエスが生まれた場所に建てられた聖誕教会がある。
場所はここ。
大きな地図で見る
聖誕教会前で待機するコンパニオン?
彼女たちはキリスト教徒なので、髪を隠さない。イスラム教徒の女性とは服装もまったく違う。
頭に載せているのは民族衣装だろうか?まだ24日朝11時ごろ、午後になると聖誕教会付近はすさまじい混み具合になるらしい。
相変わらず小さな入口。
一人ずつしか出入りできないので、順番待ちができている。
そして教会内部へ。世界中から集ったキリスト教徒と観光客でいっぱいだった。
足元のモザイク画。
祭壇も今晩から始まるクリスマス行事の準備で忙しそうだ。
この祭壇の下にイエスが生まれたといわれる場所があるが、あまりの混み具合に今回の見学は断念。
友人たちは、せっかくケニアから来たのに残念そうだった。ちなみに前回はその場所も見学をしている。その投稿はこちらへ。
祭壇上のシャンデリアを磨き上げる職人さん。
次に隣にある聖カトリーナ教会へ移動。
この祭壇で行われるクリスマスミサは世界中に同時中継される。
この教会でもっとも素晴らしいと思うのは、
この聖母マリアの表情だ。
この教会の下には、ヒエロニムスがヘブライ語の聖書をラテン語に翻訳したとされる場所がある。
まるで洞窟のように入り組んでいるようだ。
細い階段を下った先には、
広い空間。
洞窟のような祭壇
この場所で聖書を翻訳していたとは。
一番奥には洗練された礼拝堂がある。
祭壇上にあるモザイク画。
この礼拝堂と反対側の奥の通路へ。
何やらドアにあいた穴を覗いている女性がいた。
その穴を覗いてみると・・・・イエスが生まれた場所を見ることができた。ここに入るための行列を避けたい人は、この覗き穴から中を見ることができるようだ。
再び地上の礼拝堂へ。
祭壇上のステンドグラス。
カメラの準備も万全のようだ。
礼拝堂から外へ。
聖カテリーナ教会正面。
ヒエロニムスの足元には翻訳を手伝った女性パウラのガイコツ。
このガイコツも印象的だが、
個人的にいつもこの場所にいる自転車に乗った小さなオジサンの募金を集める姿が印象的だ。
そして記念写真ポイントを通過して、
教会の外へ。
先ほどより人がだいぶ多くなってきているようだ。
立派そうな真ん中の男性がコンパニオン?と記念撮影中。男性が立派かどうかはあくまでも推測だが、車とコンパニオンの間にいる手もみ男性は”お付の人”に間違いないだろう。
ギフトショップの前を通って、
大通りへ。
この場所にもサンタさんがいた。
ホテルManger Square Hotelのロビーはオススメの休憩スポット。きれいなトイレもある。
サンタのコスプレをした子供達。
ちょっと変なサンタさん
サンタ帽子を売る行商。
そしてパレスチナ限定のコーヒーチェン・・・・
STARS&BUCKS。ベツレヘムだけでなくラマッラにも支店を出す立派なチェーン店なのに驚くばかりだ。
その前を歩くミニスカートのアラブ人女性たち。彼女らはもちろんキリスト教徒なのだろう。
センスはともかく街には商品が溢れ、活気がある。
こんなショッピングモールもある。
そしてテル・アビブでは見たことのない
クリスマスツリーもあり、
ピンクのオールドフォルクスワーゲンも最新のベンツやBMW、そしてレクサスも走る。
こんなパレスチナの街の様子はもちろん、イスラエルでクリスマスムードを感じたいならパレスチナ自治区内のベツレヘムがいいなんて、まったく想像しなかった。
それにしても、なぜサンタ帽子についている年号が2014年なのだろうか?これは未だにわからない。
クリスマスを楽しんだ後は、再びドライブ。街の中心部から数分でイスラエルとの境界。
この壁の向こうは、
クリスマスもお正月もないイスラエル側になる。
分離壁の落書きはパレスチナ自治区内にだけ見ることができる。
まもなく検問所。道路の周りには行商の男たち。今日は車の流れがスムーズなので、彼らに捕まることはない。
検問所のすぐそばにも落書きがある。検問所を警備しているのはイスラエル軍の兵士たち。
アラブ人男性を模した白い鳩に噛み付く凶暴なライオン。その体にはオイル採掘設備とドルマーク。
そのとなりには強い信念で輝く女性の瞳と「To exist is to resist 存在することが抵抗することだ」という文字。
僕の人生で、クリスマスイブにイエス聖誕の地を訪問するとは想像もできなかった。
ケニアからの友人一行も満足してくれたようだ。
次はベツレヘムから直線距離でわずか10kmしか離れていないエルサレムへ移動。
友人らの希望で、ユダヤ教の聖地・嘆きの壁、そしてイスラム教の聖地・岩のドームを見た後、イエス・キリストが十字架を背負って処刑場まで歩いた道ヴィア・ドロローサへ。そしてイエスが十字架に架けられ磔刑に処された場所、キリスト教最大の巡礼地、聖墳墓教会を見学する。
次回へ続く・・・