自宅のあるコンドの入口は、普段はセキュリティドアに守られているが今日は開放??もちろんマシンガンを持った警備員がいるが、それでもすべて開きっぱなしとは・・・。
今日は昨晩から引き続きのヨム・キプル。一年に一度の”超”厳粛な安息日。そのためドアの開閉スイッチはもちろん、車すら走っていない。
信じられないと思うが、本当に車が一台も走っていない!
そこで思いつくのが、これだ!!
映画では見たことのある光景だが、まさか現実にこんなことが起こるとは、驚きだ。
街は鎮まり、子供の歓声だけが聞こえる。
もちろん高速道路もこの状態。
鉄道ももちろん休業。さらにイスラエルの空の玄関口ベン・グリオン国際空港もすべて休業。すべての交通機関は全停止。
ただし警察と消防車、救急車と軍関係車両だけは走っている。
ただし道路は子供達に占領されているので、ノロノロ運転。
この先から、人生初の体験をする。友人Uさんに教えてもらったトロントでのサイクリングイベントを逃し、いつかやってみたいと思っていたこと・・・・・それがコレだ!
高速道路サイクリングの後は、一般道へ。すべての信号は一応動いているが、まったく無視。
気をつけなければならないのは、無邪気に走る子供達だけ。
先ほど走ってきた高速道路を眺める。
炎天下の下、子供達が多く、大人たちが少ないのは理由がある。大人は断食中で水も飲んではいけないからだ。子供達は水も食べ物も少しならOK。ハザードライトを点滅させながら一般車が走っていた。どうしてもの理由がある場合は、車を運転してもいいらしい。ヨナキプールに車を運転してはならないという法律があるわけでなないので、罰せられることはない。
道路のど真ん中をジョギングするランナー。こんな事が本当にできる大都市があることを、僕は知らなかった。
再び、高速道路へ。
すごい!
凄すぎるよ!
子供達にとって、今日は最高に一日だろう。
高速道路の出口。前から三輪車が走ってきた。この子は三輪車で高速道路を走るのだろうか?
かなりテンションが上がっている子供達。気持ちはよくわかる。
そのほかの街の光景。
道路の真ん中にある白線にそって歩く女の子。
テル・アビブ市庁舎前もご覧のとおり。
今日は国中、こんな様子なのだろう。
みな楽しそうだ。
メイン通りの真ん中にある落書き。
道の真中での井戸端会議。
シナゴーグでお祈りを終えた男性は白い洋服を着ている。
横断歩道を利用した落書き。
この気持ちもよくわかる。
ディゼンゴフ広場の下に、こんな模様があったとは。
噴水の下の下水管
子供達の遊具を抱えるお父さん
信心深いユダヤ人は、今日は白い洋服を来てシナゴーグに何度もお祈りに行く。
でもほとんどの(世俗的)ユダヤ人は、今日はこのように過ごす。
犬も楽しそうだ。
街中が子供達の自転車天国だ。
ハザードランプを点灯させながら、ゆっくりと走るバイク。遠慮しながら道路を走っているのが伝わる。
そして午後7時過ぎ。夕暮れだ。
街からは子供達の歓声が少しずつ消えていく。
やがて辺りが暗くなると、車が一台、そして一台と走りだす。
道路上のみんなも帰りを急ぐ。
そして午後7時半の日没。
道路上は人影の代わりに、いつものようにたくさんの自動車が行き交い始める。
時刻は夜8時。テレビでイスラエルの国内放送が再開した。
街のお店やレストランは夜から営業開始。24時間眠らない、いつものテル・アビブに戻ってきた。
今晩の夕食は、自宅そばのこのレストラン La Shuk Restaurant。
開店間もないキッチンは、忙しそうだ。
すぐに出せるメニューから注文。これはイカの新鮮野菜のサラダ。クスクスのようなものにぷりぷりのエビがのった料理。コーシャ(ユダヤ教の戒律)のため滅多に食べることのできないこの国のイカとエビは、非常に美味しい。
メインはチキン料理。中東らしいスパイスが効いた料理。これも非常に美味しい。
お腹がいっぱいになったので、チェックをお願いしようとしたら、サーバーが「僕のおごりだから」とデザートをくれた。このデザートの名前は、マラビ。パンナコッタのようなデザートで非常に美味しい。これはイスラエルに来たら、ぜひ試してほしい逸品だった。
断食の夜(僕は断食はしなかったが・・)の食事は、非常に美味しかった。このレストランは、ぜひオススメのレストランです。
ちなみにヨム・キプルでの注意事項は以下のとおり。
- 車の運転は完全に自粛
- スーパー、レストラン等全て閉店
- 海外のテレビ番組(CNNなど)を除き、テレビ・ラジオの放映は”なし”
- すべての鉄道駅、バスターミナル、そしてベン=グリオン空港も閉鎖
- ユダヤ人は断食中のため、匂いの強い料理(カレーなど)および調理は避ける
- 大きな音(音楽も含む)をたてない
- 宗教的な方へカメラを向けないように注意する
本当に信じなれない一日だった。おそらく世界的な大都市で、車が一台も走らない日があるのは、ここイスラエルの都市だけだろう。この経験をするだけでもイスラエルに来たかいがあった。
来年以降のヨム・キプルの日程は以下のとおり。この時期、ぜひイスラエルに来ることをオススメします。
2013年 September 13-14
2014年 October 3-4
2015年 September 22-23
2016年 October 11-12
2017年 September 29-30
宗教的な理由はともかく、このヨム・キプルを体験したら誰でも「こんな一日が日本でも経験できたらなぁ」と思うだろう。