Still Alice - Today→Tomorrow

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4/18/2010

Still Alice

久々に心を打たれる本に出会いました。
出張先から戻る飛行機の中で最後のページを読み終わった時にはボロボロ涙がこぼれてしまいました。。。

Aliceはハーバード大学の認知心理学の教授。その分野では第一人者で学会や講演会にも引っ張りだこ。
夫も同じくハーバードの教授で研究者。
3人の子どもたちは、長女が弁護士、長男が医者、次女だけが女優の道を目指して大学に行かずAliceの悩みのタネ。

そんなAliceがある日ジョギングの途中、ふと自分のいる場所がわからなくなってしまいます。
いつも走っている、近所の、間違えようの無い、忘れようの無い交差点で。

疲れているのか、更年期障害か、そう思いながら診察をうけた彼女に告げられた病名は、
若年性アルツハイマー。

Aliceの受けた衝撃、立ち向かおうとする努力、いやおうなく進行する病状、無念さと苦しみ、家族への愛情。
妻に下された診断を当初は拒絶し、妻を愛しつつも、壊れてゆく妻を正視できず葛藤する夫。
子どもたちをおそった遺伝の恐怖。母(と父)を支える中で結びつきの強まる家族。
アルツハイマー患者をとりまく社会の現状。

そうしたことが、丹念に描かれていて、登場人物の誰の気持ちにも共感してしまいます。

時代設定は2003年から2005年、彼女が仕事柄手放せないBlackberryが重要な小道具になっています。

著者はLisa Genovaという女性。
彼女自身の祖母がアルツハイマーになったことをきっかけにこの本を書いたようです。
07年と09年に版を重ねていたようですが、ペーパーバックは今年の1月に出たばかり。


表紙に書かれたタイトルは
STiLL
ALiCE
「i」だけが小文字になっていて、
I'm still Alice.
その気持ちが、読み終わった後、一層強く伝わってきました。

病気が進行し、教壇にも立てなくなって久しく、同じ初期段階の患者と励ましあうグループを立ち上げた頃、愛する夫や子どもたちのことをいつ忘れてしまうかもしれないという恐怖と戦う中で、Aliceはある時、アルツハイマーの学会で患者としてスピーチをします。かつてはどんな大勢の前の講演でもお手のものだったAlice。このときには、用意した原稿から一瞬たりとも目を上げられず、自分が読んでいる箇所を間違えないようにするのが精一杯。しかし読み終わって顔を上げた時、彼女が目にしたのは満場のスタンディング・オベーションでした。

そのスピーチの内容を以下にちょっと書き残しておきます。


私が何を発言し、どんな行動をし、何を覚えているか、それが私なのではないのです。それ以上に、根本的に、私は妻であり母であり友人でありそしてもうすぐ祖母になるのです。・・・・私は死に行く人間ではありません。私はアルツハイマーを持ちながら生きているのです。私は自分ができる限りのことをしたいと思っています。

皆さんには、私たちのことを制限するのではなく、力づけて欲しいと思っています。怪我をした人のために家族や専門家がリハビリに尽力してくれるように、私たちとも、ともに働き、記憶、言葉、認識の喪失にもうまく対応できるようなツールを開発する手助けをしてほしいのです。

昨日は消えて行き、明日のことも不確かな中で、私は何のために生きているのでしょうか。私は一日一日のために生きているのです。この一瞬に私は生きているのです。今日のスピーチのことも、明日には忘れてしまうかもしれません。しかし明日忘れてしまうからといって、今日のこの一瞬一瞬を私が生きていなかったということにはならないのです。今日のことを忘れてしまうとしても、今日がどうでもいいということにはならないのです。



この本、半年以内に読み終わった本を店に返せば半額キャッシュ・バックというシステムにひかれて定価で買ってしまっていましたが、良いのか悪いのか、手元に置いておきたい本になってしまいました。

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